新世代のコリアン・ファインダイニング「I -SANG(イ・サン)」
- Bangkok Guide
- 1 day ago
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韓国が生んだスターシェフ・スティーブが、香港のミシュラン店などを経て、ついに自身の店をオープンした。それがここバンコクの「イ・サン」!伝統的であり、革新的であり、韓国らしさと世界のグルメトレンドを自在に表現する新世代の“コリアン・ファインダイニング”をご紹介します。

CHEF STEVE SANGGUN LEE
シェフ スティーブ・イ・サンギュン氏。韓国で生まれ育ち、オーストラリアや香港のミシュラン店で活躍、2023年にミシュランのヤングシェフアワード受賞。シェフが常に心を砕く「バランス」―それは、タイならではの食材、季節感、韓国料理の伝統と先端、国境を越えた世界の料理の中でのスタンス…それら全てを最も美味しく絡ませること。そのこだわりは、テイスティングコースで「なるほど、確かに」と、ちゃんと伝わるのってスゴイ!

ランスワン通りの白いビル「VIVRE]の2階。まるで隠れ家の入り口のような控えめな佇まい。

エントランスの右手はシェフたちの調理風景が見渡せるオープンキッチン。

料理が現代コリアンなら、内装はエッジのきいた尖った感じを予想していたが、意外にもこんなに穏やかで落ち着いたテイスト。どんなカップルもグループも、お一人様でも場違いにならないニュートラルな雰囲気だ。
ワインが合う料理ですから...

ではまず乾杯。ここの料理はワインとの相性がすこぶる良い!お店セレクトの銘柄をグラスで楽しむことができる。
CHEF'S TASTING MENU
シェフズ テイスティング メニュー
THB 3,980++
ワインペアリング(6グラス)はTHB2,000追加
*最新メニューはこちら
健康増進の薬膳スープと野菜のひとくちスナックで始まります。

SAMGYE TANG(サムゲタン)
熱々をキュッと一口。全身に活力が湧いてきそうなスープ。上品なうまみの中には、黒鶏、高麗人参、クコの実、ナツメ、生姜、ニンニクなどを煮出したエキスがが凝縮されている。

GYEOJA SEON
ピンクグァバと大根のマリネに、酢みそ風ソースを添えた冷たいひとくち前菜。耳の中でシャキッと響くような食感が素晴らしい。
続いて、アミューズブーシュの3品

HWEH / YUKHWEH
(左)フフェ:韓式刺身サラダ
(右)ユクフェ:=ユッケ。極上ビーフ使用。

「フフェ」は韓国式刺身サラダ。この日使った鮮魚はタイで獲れたジャイアントトレバリー(和名はロウニンアジと言うそう)。香り高い生の柚子と梅ドレッシングで、清涼感あふれる仕上がり。

おなじみ “ユッケ” を串刺しに。タレ味しみしみのトロけるようなお肉に、サクサクの揚げガーリック。思わず「これ、うんま~!」と言っちゃった一品。

JJIN-BBANG
3種のキノコとアーティチョークの漬物を包んだホカホカの饅頭。トリュフオイルの豊かな香りに食欲が俄然くすぐられたところで、この後いよいよ本格的なコースが始まります!
ここからが本コース1品目。

NAENGCHAE
octopus, squid, green mango, kaffir lime
「ネンチェ」は冷たい和え物。ふつうの韓国料理店だと冷やし中華みたいになる盛り付けが、まるで別物の洗練度。絶品のピリ辛ソースはコチュジャンとタイのハーブがベース。

PERILLA OIL KAL-GUKSU
shrimp, Korean zucchini, perilla oil
「カルグクス」は、韓国式の汁そば。海老のすり身を練り込んだオリジナルの手打ち麺は、堅いのにしなやかな独特の噛み心地。ツルツルなのに出汁がしっかりと絡み、しかもこの出汁のうまみ、最高!香味を際立たせるペリーラオイル(えごま油)も、韓国から取り寄せた最高級品を使っています。

MAEUN-TANG
catfish, chili, coriander, morning glory
韓国式魚のシチュー「メウンタン」。魚はなんとタイの鯰(なまず)!この一皿には、聞いて「へぇえええ!」となる驚きが詰まっていました。たとえがこの黄色い球の正体ね。それは行った方のお楽しみということで。
メニューには載っていない、シェフからのサプライズ!

韓国といえばチキン、ですよね今どきは。それを楽しく、グルメ度爆上げでアレンジしたのがこちら。
メインディッシュの前に、柚子のスパークリングドリンクで口直し。

IPGASIM
yuza, mango, basil
yuzaはゆずの韓国語。サックリ揚げバジルがスナックの役目を立派に果たしている。

TAPAO THONG
banana, black garlic, baek-kimchi
メインディッシュはチキン。真空調理ではんぺん状にした胸肉と、うまみ・歯ごたえしっかりのもも肉の部位違いの重ね蒸し。

香ばしい黒にんにくムースや辛酸っぱい白菜など、味と食感の変化を楽しむための付け合わせへのこだわりも見逃せない。

キムチのサラダ。見た目は「どう考えてもご飯を待つべき」と思ったけれど、アレ、これだけでシャキシャキと食べ続けてイケる。さっぱりしてて良い。まさにサラダ。
ごはんですよ。

JUK
Chiang Rai rice, jang jorim, jeot-gal
韓国式お粥は、チェンライ産の最高級ブラックベリー米を使用。トッピングは胡麻の葉とねぎ、揚げ玉葱、クリスピーライス。
パンチャン(ご飯のおかず)3品

Jangjorim(チャンジョリム)。牛肉の醤油炒め煮。

(左)チャプルーの葉をごま油で和えたナムル
(右)お粥と混ぜやすいペースト状にしたJeot-gal(チョッカル)。イカの塩辛とコチュジャン、ニンニクを使用。

THE EARTH
doenjang, papaya, Regency
doenjang(テンジャン)は韓国味噌。普通はもちろん料理に使うところをアイスクリームにしちゃう。しかもタイのブランデー「リージェンシー」と合わせたタイ-韓フュージョンに!いくらでも食べられそうに美味。
締めくくりはDAGWA(ダグァ):お茶とお菓子

DAGWA
gochujang caramel, goguma brûlée
コチュジャンが効いた香ばしいアーモンドキャラメルと、Goguma(さつまいも)の自然な甘みとホックリ食感を生かした一口ブリュレ。

I-Sang original blend tea
温かくスッキリとお腹を鎮めてくれるジャスミン&ペパーミントの特製ティー。
ふだん飯ではすっかりお馴染みの韓国料理でも、“ファインダイニング”は未経験の人が多いでしょう。料理・雰囲気・サービス、すべてが称賛に値する「イ・サン」は、食通ならぜひ試すべき一軒。特別な日の切り札としても、完璧に役目を果たすはずですよ!




